ガジュマルの樹の下にケンムンが出て怖いのです

ケンムンまたはケンモン(水蝹)とは、奄美群島に伝わる妖怪。土地ごとに相違があるものの、概ね河童や沖縄の精霊(妖怪)であるキジムナーと共通する外観や性質が伝えられている。

斎藤さんで愉快な妖怪ハント

斎藤さんというアプリをご存知だろうか?

大昔、iPhoneが日本に浸透し始めた頃に流行った、登録している者同士でどこかの誰かさんと通話ができるアプリである。

リリース当時は普通に若者のエンタメとして楽しまれていたらしいが、Twitterなどが発達し、より簡単により安全に、自分の好きな距離感で知らない人と触れ合えるツールが誕生すると、斎藤さんというダイレクトでハプニング的なコミュニケーションは関心を持たれなくなり、廃れていった…

しかしいまだに一定数のユーザーは残っている。なぜか?斎藤さんのようなコミュニケーション形式は、「見せあい」というアダルトなことをするのに便利なので、そういうことをする場として使われているからだ。しかしまあ、今は見せあい専用のアプリがあるのに、こんな古のアプリをいまだに使ってエロいことしようとしている奴は相当おかしい。

通話にはビデオあり通話とビデオ封印通話があり、ビデオあり通話を選択すると、ほぼというか全員?見せあい目的の人が出てくる。そして、そういう人の中には初手で陰茎を見せてくる人がいる。

見せあい目的でなくアプリを興味本位で始めた人は初手で彼らのスピード陰茎アタックを受けることになり、「チン凸」が出たと騒ぐ。その評判が広まることで、いつしか斎藤さんはあそこに行くと「チン凸」が出るから近づかない方がいいと、まるで妖怪が出る山のように噂されることになった……

 

私は三連休退屈していたので、どんなチン凸妖怪が出現するだろうと肝試しをすることにした。

以下は遭遇した妖怪との交流記録である。

 

 

①東北在住の高校生

すごいオタク。同じくディープなオタクの彼女がおり、その子を溺愛している。のろけを語るかわいい男子だった。登録日時は1日前であり、まったくエロ目的ではなさそう。エロなしに会話できたのは彼が最初で最後だった。

彼のインターネット・アニメの知識は相当なもので、どんなマイナーなアニメでも知っている。昔の掲示板のネタやライトノベルの話も高校生とは思えないくらいにできる。あまりにも楽しくて4時間会話してしまった。(この成功体験が私を妖怪ハンターにしてしまったと思う)彼女とはいつか結婚したいし、彼女を養うために頑張って資格を取ろうとしているとのこと。

「また話したいな」と私が言うと、「彼女が嫉妬するから明日にはこのアプリを消さなければならない、もう二度と話すことはないだろう」と返された。しかし、「もしお姉さんが東北に旅行に来た時、彼女とちっちゃい子を連れている人を見たら、多分それは僕です。また会えなくてもすれ違えたらいいですね、狭い日本なのですから」とも言ってくれた。

翌日フレンド欄を見ると「退会済みのユーザー」になっていた。彼の将来に幸多からんことを!

 

②妖怪いきそう

まじもんの妖怪とエンカウント。ユーザー名が「いきそう」。

繋ぐとすぐにビデオをつけ、陰茎をしごく様子をでかでかと映し出す。ずっと「いきそう、いきそう」と小声で言っていて、こちらが何を聞いても「いきそう」としか答えない。

いきそうと言っている割には2分経っても全くいく様子がないので、「全然いかないじゃないか、もっとまじめにやれ」と言ったところ、通話を切られてしまった。

彼の心は我々が思うよりもずっと繊細なのだろう。

 

③巨根お兄さん

500mlペットボトルの大きさと同じ陰茎を持ったお兄さん。妖怪いきそうの話をすると、面白がってくれた。

普通に話せそうな人だったので、おすすめのweb漫画を紹介しあった。あと、AVでは全然取り上げられない第二のGスポットの開発方法(彼発見)と新開地行きの路線が他よりも速い理由について教えてくれた。

第二のGスポットはそんなに気持ちよくなかった。相手の携帯の電池切れにより終話。

 

④自称おおきめのお兄さん

おおきめというユーザー名だったので繋いだ。

見せてくれたちんこは16センチで、まあ平均より大きめではある。しかし先ほど異次元の巨根を見たせいで感覚がマヒしていたので、そこまで大きいとは思えなかった。

「さっき500mlのペットボトルと同じ長さの人いましたよ」と言うと、「だからおおきいじゃなくて、おおきめにしてるの。おおきいだと嘘ついてることになるでしょ?でも、おおきめだと、含みを持たせてるから嘘ついてることにならないよね。」と答えた。確かにそうだ…!彼の真面目さに心を打たれた。射精を見守って終了。

 

⑤ネットリテラシーの敵

全然パンツからちんこを見せてくれなかったお兄さん。ちんこ見たいならそっちも見せてとのこと。顔射フェチで、顔見るまでいけないと繰り返し言っていた。しかし、ネットリテラシー上それはどうしてもできないという事で断った(そういう問題か?)。これから妖怪ハントするときは顔射フェチじゃないかどうかを確認しなければならないな、と思った。

 

⑥呪術廻戦ファン

好きなAV女優などの話をした後、相手がAV見て頑張って射精。疲れているのかふにゃふにゃだった。私がPornhubやXvideosでエロ動画を見ていると言うと、MISSAVとTKtubeというより良い動画が見れるサイトを教えてくれた。呪術廻戦の好きなキャラの話をしてくれたけど、呪術廻戦分からないから全然返せなかった。後日、「あなる見たい」とメッセージが来た。知るかよ

 

⑦ランチタイムのお兄さん

ご飯食べている途中で暇だったので繋いだ。休日のお昼という事でまったりオナニーをしている様子。こちらがつまらない日常会話を投げかけたり、いきそうな時に「きたきたきたきたいけいけいけいけいけいけ!!!!!!!!!!!!」など声をかけて応援したおかげで、萎えて大変そうだった。ごめんね。

 

この肝試しで分かったことは、チン凸は妖怪なのではなく皆同じ時を生きている人間であるという事だった。ちんこ一本一本にも人生があるのだ。